茶色の牛もいるんだよ【肉用牛の品種】

その他の品種


さまざまな牛の品種

アバディーンアンガス

●1アバディーンアンガス(Aberdeen-Angus)

イギリスの北スコットランドが原産の肉用牛です。枝肉歩留り62〜64%、早熟早肥で、よい肉質をしています。

体格は小格ないし中等で、全体に丸みを帯びた輪郭をしています。黒毛で、無角であることが大きな特徴になっています。褐毛のアンガスもいますが、これはレッド・アンガスとして別品種にわけられています。

日本には1916年に導入され無角和種をつくるのにつかわれました。

ブラーマン

●2ブラーマン(Brahman)

アメリカ南部の、熱帯・亜熱帯地域での飼育にむく牛としてつくられた品種です。アメリカの野牛に、メキシコ湾岸地方やインドにいる乳肉兼用種・役用種をかけあわせ、改良がかさねられてきました。

体格は中型、毛色は銀灰色あるいは赤褐色で、肩、頸、四肢に黒いボカシがあります。純粋種として生産に用いるよりも、他品種と交雑してF1を生産するのに利用されています。

ヘレフォード

●3ヘレフォード(Hereford)

イギリス西南部のヘレフォード州が原産地の肉用種です。18世紀ごろから改良が始まり、1846年に登録されたという古い品種です。体格は中型、骨太で頑健な体つきをしています。毛色は、頸、肩を除いた体上部が濃い赤褐毛、体下部や尾房が白いのが特徴です。

肉のきめはやや粗いのですが、暑さ・寒さ・乾燥などの過酷な自然条件によく適応し粗悪な飼料に耐えるため、世界各地で飼われています。

ブランガス

●4ブランガス(Brangus)

ブラーマンとアバディーンアンガスとをかけあわせた品種です。アメリカ南部の州にある、農務省の試験場や民間牧場でつくられていたものを統合し、1949年に新品種として協会が設立されました。

体格は中型、毛色は黒単色で無角です。ダニ熱に対する抵抗性に優れており、フィードロットでの肥育にも適しています。

ドラウトマスター

●5ドラウトマスター(Drought-Master)

そもそも、オーストラリアの北部クイーンズランド州、マウントガーネットのアトキンソン、ホームヒルのリアでそれぞれ独立につくられた品種です。ブラーマン、デボン、ヘレフォード、ショートホーン、レッドポールといった品種がもとになっています。1956年に公認され、1962年にはドラウトマスター協会が設立されました。

体格は中型、毛色は淡赤褐または濃赤単色で、有角のものも無角のものもいます。暑さや粗悪な飼料に耐え、肉質がよいのが特徴です。

マレーグレイ

●6マレーグレイ(Murray-Grey)

オーストラリアのニュー・サウス・ウエールス州マレー地方で、ショートホーンとアバディーンアンガスをかけあわせた品種です。20世紀に入ってから作出された新しい肉用種です。肉質がよく、粗飼料に耐えるのが特徴です。毛色は灰褐色、鼻鏡および蹄は黒色となっており、無角です。

体格は小型で、和牛と同程度の大きさが標準です。最近、日本で肥育もと牛が不足していることから注目され始め、関東をはじめ各地に輸入されつつあります。

シャロレー

●7シャロレー(Charolai)

フランスのシャロレー地方原産で、フランスで最古の肉用種です。もとは役畜でしたが、肉用種として改良されました。

体型は大型、毛色はクリーム白色の単色、額の毛が縮れているのが特徴です。各部の筋肉が非常に発達しており、脂肪の付着が少ないlean meatを生産する牛として尊ばれています。

シンメンタール

●8シンメンタール(Simmental)

スイス西部のシンメンタール谷が原産で、アルプス山岳地帯や、比較的平坦で経営面積の大きい地方で多く飼われています。

毛色は淡黄褐または赤褐白斑、白面斑で、角があります。

国によって肉用種としているところと、乳用種にしているところがあり、前者は肉付きが良く、尻が丸くなっています。乳房は体のわりに小さく、垂れ気味で、乳頭は全体として下に尖ったようになっています。

デクスター

●9デクスター(Dexter)

イギリスのアイルランド南西部が原産で、ケリー種より分離、改良された乳肉兼用種です。イギリス原産の牛の中では最も体の小さな品種です。現在はイギリスとアメリカで主に飼われています。

毛色は黒で頭が大きく、脚が短いのが特徴です。

日本では第二次世界大戦後にアイルランドの協会から寄贈され、群馬県の神津牧場で飼われ始めました。

グローニンゲン

●10グローニンゲン(Groningen)

オランダの北部が原産で、1906年に協会が設立されています。グロニンゲンホワイトとも呼ばれています。

体格は中型で、毛色は体が黒く、顔が白の斑点と非常にユニークです。5%くらいの割合で赤色のものもいます。

体の幅と高さはありますが、体長は短いことが特徴です。

リムーザン

●11リムーザン(Limousine)

フランス中部リモージュ地方の在来役牛を改良し、1886年に役肉兼用種として成立しました。

毛色は赤褐色〜暗褐色で鼻や目の周りなどが淡色です。胴長で体積は豊富ですが、脚は短いです。

肉質に優れており、肉用牛の赤肉生産能力の向上に利用されています。

フランス中部、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアで肉生産に利用されています。日本にも導入されています。

デイリーショートホーン

●12デイリーショートホーン(Dairy Shorthorn)

イングランド北東部が原産で、コリング兄弟が作出したビーフショートホーンの中から、極端な近親交配を重ね泌乳能力の高い家系群をつくり出しました。毛色は白地に濃赤色が最も多く見られ、濃赤淡色、白単色、赤白斑なども見られます。

イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ等で飼われています。日本には明治の初めに輸入され、南部牛の改良から日本短角種を生み出すのに使われました。

ハイランズ

●13ハイランズ(Highland)

イギリスのスコットランド北西部高原地帯の原産で、ウエストハイランドとも呼ばれます。

体格は小型で、全身が長い毛で覆われ長い角を持ち、独特の見た目をしています。

毛色は、赤褐色、淡褐色、灰褐色が多く見られます。良い肉質をしていますが、骨太で多くの肉はとれません。

イギリス、ドイツ、スウェーデンなどで飼われています。

ギャロウェイ

●14ギャロウェイ(Galloway)

イギリス、スコットランド南西部が原産で、ハイランド種から分離された肉用を主にした乳肉兼用種です。

毛色は黒褐色単色が多く、糟毛のものもいます。毛は長く原品種のハイランドには角がありますが、ギャロウェイは無角です。

肉は良質でかなり多くの肉がとれます。

イギリス、ドイツ、南アフリカなどで飼われていて、日本には明治時代に輸入されたことがあります。

ベルテッドギャロウェイ

●15ベルテッドギャロウェイ(Belted Galloway)

ギャロウェイ種の変種で、1922年に登録が開始されました。

黒褐色の毛色で体の中央部に白帯のあるユニークな外見をしています。体格、能力ともにギャロウェイとほぼ同様ですが、ギャロウェイよりも大きさはやや小型です。

主にイギリスなどで飼われています。

デボン

●16デボン(Devon)

イギリスのイングランド西南部のデボン州北部が原産で、乳肉兼用種のサウスデボンに対して、ノースデボンと呼ぶこともあります。

1851年に登録が開始され、1884年に協会が設立された古い品種です。主にイギリスで飼われており、日本には明治2年にアメリカから輸入され、島根県で黒毛和種の体格向上、熊本県で褐毛和種の改良に利用されました。

キアニナ

●17キアニナ(Chianina)

イタリア中西部トスカニー地方キアニナ谷の原産で、古くからの在来種にグレイステップという品種を交雑させた役肉兼用種です。現在は改良され、肉専用種となっています。

毛色は白色単色で、雄は頸から肩にかけて灰黒色のぼかしがあります。

イタリア、オーストラリア、イギリスなどで飼われており、雑種生産のためアメリカ、カナダに多く輸出されています。

モルーチョ/ムルシアン

●18モルーチョ/ムルシアン(Murcian)

スペイン南部地中海沿岸地方で飼われている在来種です。

毛色は濃褐色単色で、目の周りや四肢に黒いぼかしがあります。

体格は大型で、気が荒く闘牛等に使われるリディア種を原型に作られた、役肉兼用種です。

ツダンカ

●19ツダンカ(Tudanca)

スペイン北部のサンタンダー中部山岳地域に飼われてきた、在来種の中で現在も飼われている唯一の品種です。

乳肉兼用種として飼われていますが、近年は減少が著しくブラウンスイス種に吸収されつつあります。

毛色は黒色、灰色または黄褐色単色で黒いぼかしが入っています。体格は中型で、角が長く、四肢も長いのが特徴です。

ハンガリアンステッペン

●20ハンガリアンステッペン(Hungarian Steppe)

ハンガリー原産の乳肉役の三用途兼用種です。ハンガリアングレイとも呼ばれています。

毛色は灰白色単色で、角は側上方に伸び、たて琴のような形をしています。

体格は大型、胴長で四肢が長く現在は乳肉生産に利用されています。

ロングホーン

●21ロングホーン(Longhorn)

イングランドのレスター州で18世紀中ころに多目的に飼育されていた品種を、有名な育種家ベイクウェルが乳肉兼用種に改良した品種です。

毛色は銅褐色か黒褐色に虎のような模様があり、体の上と下の部分が白になっています。角は長く雄は側下方に、雌は側上方に伸びていきます。

乳脂率の高い乳はチーズの原料として利用されますが、最近は原産地でも飼養頭数が減少しています。

ピンツガウエル

●22ピンツガウエル(Pinzgauer)

オーストリア中部ザルツブルグ地方のピンツガウ谷が原産で、古い在来牛から改良した中型の乳肉兼用種です。

毛色は濃い赤褐色で、背、尻、尾房、下腹、四肢の一部に白斑があります。

主にオーストリア、イギリス、南アフリカなどで飼われており、アメリカでは他の肉用種との交雑に利用されています。

肉質が良く、上級肉が多くとれることで知られています。

写真提供:日本大学生物資源科学部 畜産経営学研究室

関連サイト

肉用牛(社)肉用牛振興基金協会