乳用牛とは大昔から友だちだった

乳用牛の改良と選抜

写真1
18世紀にロバート・ベイクウェルは繁殖用個体の改良を進めた
写真2
コリング兄弟はショートホーン種の改良に成果を納めた
写真3
18-19世紀に作出されたデイリー・ショートホーン種

乳用牛の改良は18世紀から始まった

 乳用牛の品種が分化したのは、家畜品種改良の最優先国であるイギリスでも18世紀に入ってからのことです。それまでは、肉用の品種(例えばロングホーン種)の中で乳量の多い個体の乳を搾って利用するという状態で、乳量も年間1700kgほどに過ぎませんでした。

 そこで、独特な鑑定眼で優れた繁殖用の個体を選抜して交配し改良を進めたのが、イギリスのロバート・ベイクウェル(1726-95)でした。彼の弟子のロバート・コリング(1749-1820)とチャールズ・コリング(1750-1836)は、当時は避けるべきこととされていた近親交配を、形質を固定するために積極的に取り入れ、ショートホーン種の改良に大きな成果を納めたのです。またトーマス・ベイツ(1775-1849)は、本種の産乳能力をさらに向上させて、デイリー・ショートホーン種を作出しました。そして、19世紀末には乳量も年間4500kgに達するようになりました。

 現在の乳用牛の能力がより高くなっているのは、19世紀末から登録事業や能力検定が組織的に行われるようになり、ことに後代検定によるオスの改良が進んだことが、大きな要因となりました。

畜産ZOO鑑内の関連ページ

乳用牛肉用牛豚鶏馬めん羊山羊品種ができるまで