大きくて、とてもやさしい【肉用牛のからだ】

習性と行動

    牛はもともと群(むれ)をつくる動物だ
    繁殖雌牛と哺乳(ほにゅう)期の子牛。この時期の母牛は防衛本能があらわれる

群生動物の習性

牛は本来、群(むれ)で生活する動物です。牛を集団で飼うと必ず強いリーダーが生まれ、さらに仲間同士で順位付けが行われます。この時、角をつき合わせて喧嘩をするためとても危険ですが、一度順位付けをした後は、おとなしくなることが多いようです。リーダーとなった牛は、責任感が強くなり、人や外敵が接近したときは、真っ先に群の前に立ち、仲間を守ろうとします。この順位付けは、同時にエサを食べるときの優先順位にもなります。つまり、上位の牛がエサを常に豊富に食べられるようになり、より頑丈で強い牛になっていくのに対し、順位が下位の牛は、エサになかなかありつけず、痩せ細ってしまうこともあります。ある程度成長した肉用牛は集団で飼われることが多いので、このような牛の性質を知らずに飼うと事故につながりかねないため、肉用牛農家はいつも気を使っています。


母性本能

子牛をもった母牛は、母性本能が強くあらわれます。そのため、まわりの牛や人から子牛を守ろうとして凶暴になることもあるので、十分に注意して接しなければ人間も大ケガをしてしまいます。


牛の奇妙で困った習性

牛は細長いものを飲み込んでしまうという困った習性があります。例えば、鉛筆やペン、釘、針金など、細く長いものだったら何でもかんでも飲み込んでしまいます。どうしてこのような習性があるかははっきりしていませんが、もし、釘のようなものを飲み込んでしまって、お腹の中で刺さってしまったら大変です。そこが第2胃だったら、すぐとなりに横隔膜、さらに心臓があるので、心臓を傷つけてしまうことになり、命取りにもなりかねません。このような疾病を、創傷性横隔膜炎または創傷性心膜炎といいます。この病気になった牛は、痩せてしまい、泌乳量も乳質も低下してきます。軽度なものなら胃の中に強力な磁石などを入れて、突き刺さっているものを取り除くこともできますが、たいていは治療の施しようがないので、廃用にするしかありません。予防のため、普段から胃の中に強い磁石を入れる、牛のまわりに釘や針金などを置かないように注意するなどします。