ぼくにも乳用牛、飼えるかな?
環境問題と対策

堆肥の臭いをおさえるためにコーヒー皮とココアダストを混ぜる酪農家もいる

出典:『畜産(教師指導用)』(農文協 刊)
畜産経営の規模拡大にともなう環境問題
畜産という産業は、もともと野草や牧草などしか生育できない地域で、人間にとって高い栄養価がある食料を生産する手段として発達してきました。その後、畜産の生産性を高めようと、濃厚飼料を与え、より集約的、高密度な経営規模の方向へ拡大しました。これにともない、以下のような環境問題が発生しています。
- 濃厚飼料はふん量を多くするため悪臭が増加
- ふん尿による地下水・河川や海の富栄養化および汚染
- 家畜排せつ物などから発生したアンモニアが原因となった酸性雨。その雨は国境をこえて、他の国へも影響
- 反すう家畜(胃を4つ持つ家畜)から発生する、メタンガスなどによる地球温暖化現象
家畜排せつ物法
全国で1年間に発生する、牛・豚・鶏の排せつ物(ふん・尿)量は、約8000万t(令和6年)にも及びます(『畜産環境をめぐる情勢』農林水産省生産局畜産部、令和6年9月)。
令和6年の調査によれば、発生した家畜排せつ物のうち、6500万tがたい肥化などによって草地・農地に還元され、1370万tが浄化処理やエネルギー利用などへとまわされています。また140万tほどが産業廃棄物として処理されたり公共下水道に放流されています。
平成11年に「家畜排せつ物法」が制定されました。一定規模以上の農家(牛・馬10頭以上、豚100頭以上、鶏2000羽以上)において、たい肥舎や汚水処理施設、バイオガスプラントなどでの適切な管理・処理が義務づけられています。