人間とくらす【馬と人との歴史】
地域文化と在来馬
地域文化に育まれてきた日本の在来馬
日本は南北に細長く、北海道から沖縄まで各地の地勢・気候・風土・地域の住民生活から、産業・文化に至るまで、バラエティーに富んでいます。このように風習・祭事など、地域によって多彩な文化が定着してきたなかで、在来馬集団は農業および日本文化の担い手として、地域住民の生活を支え、地域の特性を現在まで伝承してきた貴重な存在です。
在来馬を愛し続けてきた地域住民との関係は、いかなる社会情勢になろうとも、他人が口を挟むことを許さないほど強いパートナーシップを持っています。
優駿の産地
戦国時代以後、各地の領主はこぞって優駿の生産に努力しました。それらは、今の青森・岩手県にまたがる旧南部藩で生産され、他藩の産馬改良にも貢献した「南部馬」、宮城県の「鬼首馬」、福島県の「三春駒」、長野・岐阜県にまたがる木曽谷を故郷とする「木曽馬」、兵庫県淡路島の「淡路馬」、九州長崎県の「対馬馬」「島原馬」、熊本・宮崎・鹿児島県周辺で生産されていた「阿蘇馬」や「薩摩馬」などで、大宝律令に記載されている「馬の牧」が置かれた地域が名駿の産地となっていたと推測されます。
これらの馬の血筋を引き継いだのが、現存する8馬種(北海道和種馬、木曽馬、野間馬、対州馬、御崎馬、トカラ馬、宮古馬、与那国馬)の日本在来馬です。
現在では、それぞれの在来馬に保存会が発足しており、その保存と活用についての活動を行っています。