めん羊とは大昔から友だちだった【めん羊と人との歴史】
世界のめん羊飼育
飼育数、羊肉生産のトップは中国
世界では13億215万頭(2022年)ものめん羊が、多くの国々でそれぞれの目的をもって飼育されています。ここ数年間はやや減少傾向ですが、アフリカとアジアでは着実に増頭しており、これらの地域では、めん羊が食料生産のためにきわめて重要な家畜であるといえます。現在、最も多く飼われているのは中国の1億3316万頭で、これまでトップの座を譲らなかったオーストラリアは、羊毛価格の低迷や干ばつなどの影響による頭数の減少で第2位(1億2000万頭)、次いでインドの5820万頭となっています。
羊肉においても中国は、ヨーロッパ全土を合わせたよりも多い144万トンを生産して第1位 、次いでオーストラリアの66万トン、ニュージーランドの56万トンの順となっています。しかし、輸出量ではニュージーランドの38万トンが最も多く、第2位はオーストラリアの31万トンであり、この両国で世界の羊肉貿易量
の約72%を占めています。
※数値データの出典は『国際農林水産統計2002』(農林水産省統計情報部、平成15年3月発行)より
羊毛大国オーストラリア
オーストラリアは世界の羊毛の30%に当たる70万トンを生産する羊毛大国ですが、牧羊の歴史は比較的新しく、1797年に南アフリカからスパニッシュ・メリノを輸入したことに始まります。以来オーストラリアは良質の羊毛を生産するメリノの増殖に力を注ぎ、世界最大の羊毛生産国に発展しました。また、隣国のニュージーランドでは、1834年にオーストラリアからメリノを輸入して牧羊が開始されましたが、1860年代に多くの英国種が輸入され、毛肉兼用型のめん羊飼育が進められてきました。
■めん羊の寄生虫と寄生部位
| 飼養頭数(百万頭) | 羊肉生産量(千トン) | 羊毛生産量(千トン) | |
| 中国 | 194.0 | 2,782 | 356 |
| オーストラリア | 70.2 | 709 | 328 |
| インド | 75.3 | 1,026 | 35 |
| ニュージーランド | 25.1 | 437 | 131 |
| アフリカ | 423.3 | 1,956 | 199 |
| ヨーロッパ | 120.0 | 1,095 | 132 |
| 中・南アメリカ | 73.2 | 327 | 97 |
| 北アメリカ | 6.0 | 79 | 13 |
資料:FAO Production Yearbook