飼育事例:武蔵野大学附属幼稚園・ウサギとニワトリ

 東京都内とは思えないほどの豊かな自然に囲まれた武蔵野大学附属幼稚園では、仏教の精神にのっとり「ひとつしかない命を尊重する」動物飼育がおこなわれている。生き物を飼うことが日常の一部になっている園で、お話しをうかがった。

●1 子どもが「自分でやった」と思えるように

 園を訪ねてみると開口一番、
 「動物飼育といっても、特別なことは何もしていないんです。だから、いつもの園の姿を見ていってくださいね」と、井上悦子先生(武蔵野大学附属幼稚園主事)はにっこりされた。
 園児たちが飼育当番をしているのは、年中組の「ウサギ」、年長組の「ニワトリ」。当番はだいたい月一回まわってくる。年少組は、動物をかわいいと思ってもらうことが先なので、当番にはまだ参加しない。でも上の学年がお世話をしているのを見ると、自然に近寄ってくるそうだ。

 「そろそろウサギ当番、はじめようか」、担任の渡辺なほ子先生が声をかけると、今日の当番にあたる3人が、ウサギの入ったケージを持ちあげ、水道のそばへもっていく。ウサギをケージから出し、脱走しないよう囲いに入れてから、トイレ、エサ箱、下のフン受け、すのこなどを水洗いする。
 先生はそのようすを見ながら、「タワシはこの方向だともっと力がはいるよ」「すのこの上の白いかたまりはオシッコだから、ゴシゴシ洗おうか」「はい、終わったら網を干してきてください」と、絶妙のタイミングで声をかける。
 「子どもたちが“自分でやった”という気持ちになれるように、極力手を出さないようにしてます。その方が下準備もいるし、時間も必要ですけれどね(笑)。でも、待つだけの価値があります」と渡辺先生。やらされているのではない分、子どもたちのウサギへの愛着は深い。
 園の外へ散歩に出たときも、「ユキちゃん(ウサギの名前)にく〜さ♪」と歌いながら、道ばたの草を摘んでおみやげに持ち帰る子もいるそうだ。


ウサギのケージを当番が協力して運ぶ

みんなでていねいに水洗い

洗ったすのこが乾く間、ウサギと一緒に遊ぶ

当番の子は一日、腕にワッペンをつけられる。子どもにはそれもうれしい

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